#アイドル短歌 解説もしくは蛇足1

#アイドル短歌  でツイッターに投稿したAぇ! groupの句の中から、お気に入りのやつの解説のような、セルフライナーノーツのような、言い訳のような何かです。蛇足です。

(2020/6~2020/9/7分の句から)

 

末澤誠也

キャラクター:軽薄気取りの王子様(ほんとは真っ赤な誠を秘めてる)

 

メンカラと名前を入れた句。派手な見た目や「聖夜様」キャラから遊び人、チャラいといったイメージが付随する彼ですが、グループにかける思いや仕事に対する思い、パフォーマンスのクオリティーに関する思いは並大抵のものではないよなあと、インタビューなどを見るたびに感じます。内に燃え滾らせている赤誠が透けて見えるパフォーマンスを観るたびに、ゾクゾクするのです。

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赤 お姫さまの好きないちご色 王子の燃える闘志の色

末澤誠也誕生日に寄せた句。「Aぇの姫」と呼ばれている誠也くん、お誕生日の配信でもカメラ目線でかわいらしくイチゴを頬張り、姫っぷりを堂々とアピールしていましたね。でも一旦曲が始まれば闘志を燃やしたかっこいい王子様になるのだから、ずるい。

 

「神様がいじわるで隠した天使、見つかったらしい」ではじまるお話。

末澤誠也誕生日に寄せた句。入所してから「不遇」と呼ばれた時代が長かったらしい誠也くん。実力も華もありましたが、なかなか前にでてスポットライトがあてられるということはなかったそう。厳しいですが、芸事の世界では悲しいかな、ありふれたことでもあります。たぶん神様はお気に入りの天使を見つけるとひとり占めしたくて隠してしまうのではないでしょうか。その天使が見つかった時から始まった物語を見ているのかも。

 

くれなゐの薔薇のかさねの唇にのるのは安いラブソングでも良い

末澤誠也誕生日に寄せた句。与謝野晶子の句、「くれなゐの薔薇のかさねの唇に霊の香のなき歌のせますな」より引用(与謝野晶子 『みだれ髪』より)。「紅の薔薇を重ねたような、赤く、美しく、情熱的な唇で、魂のこもっていないような、超自然的な威力のないような、空疎な言葉の歌など歌わないでほしい」といったような歌でしょうか。でも誠也くんの美しい唇に乗るのであれば、それが陳腐で安っぽい流行りのラブソングだったとしても構わないな、という馬鹿な歌です。晶子に怒られそう。

 

その声は理性や理屈も超えてしまうほんと世も末騒めく心臓 

 

草間リチャード敬太

西の空宵が明けてもひときわに輝く目印を従え

【特集】宵の明星 金星(2019年 冬~2020年 春) - アストロアーツ

 

メンカラを入れた句。「宵の明星」(金星)は、日没後、夜の始まりの時間帯に西の空にひときわ輝く一番星のこと。その美しさから、古代より様々な神話で美の女神の名前が与えられてきた星でもあります。他にも美しい星が瞬く中で、いちばん強い光を放つ、誰もが認識する夜空の目印担当。それってリチャくんじゃん。宵の明星が西の空に輝くのは一年の内でも数か月だけであり、同じ星はいずれ「明けの明星」として、明け方の東の空に観測されるようになります。西にいても東に行っても一番輝いているのはリチャくんだし、私はすぐに見つけるんだろうな、と思って作った句。

 

一度きりチャンスを逃さず射貫く様 視線を集めて行け 頂まで

名前を入れた句。リチャくんの隅々まで神経が行き届いたような隙のないダンスが好きで、一度見てしまうと視線が捕らえられてしまう。そうして見事に落ちました。そのままどうか見るものの視線を奪い続けて、高みを目指してほしい。

 

正門良規

その深い優しさ例えるならば「海」青の静けさ波の激しさ

メンカラを入れた句。正門くんの深い優しさ、底なしの懐は、たまにだだっ広い海を見ているときのような超人間的な恐ろしさを感じることもあるな、と思って。普段の落ち着きと安心感を感じさせる彼は青く静かな海ですが、ギターを演奏している彼は白波の立つ荒れた海のような力強さがありますよね。

 

 準備よし、乗り越えてやる、と思ってたあの壁 まさかどこでもドアとは

 

島健

健やかに勲章の携えてはしゃぐ子みたいな美しいきみ

メンカラと名前を入れた句。彼からは、膝小僧に紫の痣ができていてもお構いなしにはしゃいでいる子供のような健やかさ、無垢な心、眩しさを感じるのです。彼のまっすぐで優しい心を感じるたびに、ああ美しいなとしみじみ感じます。

 

これやこの理解不能な天才を愛してしまう切なさを知る

島健誕生日に寄せた句。「これやこの」は、かの有名な蝉丸法師の句「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」から引用しています。「これが噂に聞いていたあの」という意味。自分の理解が及ばないような天才を愛してしまうことが切ないとは聞いていたけどここまでとはね、みたいな句です。きっと日常の出来事ひとつ、日常の景色ひとつとっても、私の目に映るものと作詞家小島の目に映るものでは大きく違うのでしょうね。何を考えているのか凡人の感性ではわからない人を思うのは切ないけれども、でもその掴めなさこそが魅力だったりする。

 

知っている?クジラが生まれ変わったわけ 海よりでかい夢見たらしいで

島健誕生日に寄せた句。水が好きだし、エイトさんの「クジラとペンギン」が好きだし、「俺の前世はクジラだったのかもしれない」と言っていた小島くんですが、本当にそうだったのかもしれないね、と思って作った句。海では叶えられないような夢を見て生まれ変わってきたのかもしれないね。

 

ガキみたく意固地、負けん気 正解はいらないあくまでこの道を行く

名前を入れた句。「売れるのが正解やとしたら俺と佐野は一生不正解や」(小島の名言その76)が大好きで。誰かが決めたテストで丸がもらえるだけの「正解」など求めなくてもいいから、自分たちなりのやり方で楽しくやっとくれ、ついていくよ…の気持ちで作りました。

 

謎・クレヨン・でっけえやさしさ・ジョーク・夢・可愛い少年「レシピ:小島健

知っている?きみのだっさい泣き顔がこの世で一番美しいこと

ヘイタクシー、紫の光の海へクジラに会いに いま夏は来ぬ

分からないマジかコジマか冗談か きみが最高なことだけわかる

 

福本大晴

6人でいる 幸福も溶け合ってふくらむみたい 青春みたいね

名前を入れた句。6人でいることで幸福がどんどん増幅していく、その青春のきらめきのような時間をファンとしてともに過ごせていることが、とても幸せです。

 

泣き笑いスベって強くなる少年 太陽の熱を瞳に宿して

 

佐野晶哉

長かった嵐も荒野を過ぎるころ芽吹いたに未来をかさねて

メンカラを入れた句。かつて関ジュは「焼け野原」と呼ばれた時代があったそうですが、その時代を知る他の5人にとって、若く才能あふれる佐野くんは、春の訪れを感じさせる新芽のような存在なのではないかと思って。

 

爆音のバスドラ!ギター!の鋭さの間 清けき旋律みたいなアイドル

名前を入れた句。カメラが回ると人が変わったようにボケ倒してメンバーをいじってキレて暴れて、大爆笑を作り出す天才的な彼がバスドラとギターの爆音だとしたら、普段の礼儀正しくおとなしく、丁寧に織るようにしゃべる彼はまるで清らかな旋律のようだと思って作った句。

 

Stray dogs.

暖かい毛布と首輪を引き換えに手にした∞にひろがる世界

野良犬には、暖かい毛布にくるまって安心して眠ることのできる住処もなければ、おいしい餌を用意し、かわいいかわいいと撫でまわしてくれるご主人様もいません。でも、首輪でつながれていない野良犬はどこにでも行くことができる。なんだってやれる。可能性は無限大。

 

騙されない!迷子の子犬の目をしても尖った牙が見えているから

正門くん、まるで迷子の子犬のようなきゅるきゅるの優しい目をしていますよね。無害に見えるのに、ああいう男の人が一番好きになったら厄介なんだよな…。おそらくは牙で仕留められるように、心ごと捕らえられてしまって動けなくなるのでしょう。ああこわい。

 

血統書付きの仔犬に見えますか?研いだ爪でも見せたりましょか

子犬のような表情をすることでお馴染みの佐野晶哉。だけど、お育ちの良い血統書付きの噛まない犬かと思って舐めてたら痛い目にあいますよ。時間と努力をかけてじっくりと研がれた爪はマジもんなので。

 

6匹の野良犬が身を寄せ合ってみた夢 続きは月のみぞ知る

飢えてなお内に気高き血ぞ燃ゆる野良犬 果報は掴み取るもの

ピカピカのワンちゃん横目に漁る餌 腐ったままで終えてたまるか

吠えるよに歌う 暴れるよに踊る きらきらひかるは野良犬のいのち

また会おう生存競争勝ち抜いていつか輝くあの日の下で

 


もんビバ

「おもちゃ箱生まれのヒーロー、旅先でロックと出会う」ではじまる伝記

ヒーローの伝記は、生まれ育ったおもちゃ箱から旅に出た先で、ロックなギター少年と出会った場面から始まります。

 

二人乗り原付き降りて乗り合いのバンドワゴンで旅は道連れ

ドリアイ配信の「罪と夏」もんビバのニケツから作った句。映画「イージーライダー」が好きなのですが、関ジュに公式ユニットがなかった時代を、バンドという独自の武器をもって二人で乗り越えてきたもんビバは、まさに荒野を男二人でバイクで旅するロードムービーのようだな、と。小島の小さいころの夢は「原付に乗ってラブ&ピースを唱えながら全国を旅すること」だったらしいですが、原付ニケツではたどり着けない遠くまでワゴンならいけますし、「旅は道連れ」旅のお供はいたほうが心強いといいますし、連れは多いほうがきっと楽しいですし、おすし。

 

さすらおうブレーメンまで遠くてもさすらう限り夢は醒めない

ロバは意地悪な人間のもとを離れ、ブレーメンに行って音楽隊に入ろうとする。旅の道中で同じような境遇の仲間たちと出合い、メンバーを増やしながら、ブレーメンを目指す。(「ブレーメンの音楽隊」より) あのお話、結局動物たちはブレーメンにはいかず、ブレーメンの道中にあった民家で、楽器を演奏しながら仲良く暮らすんですよね。

 

youtu.be

 


サステインこれは恋でも愛でもないただの夢見の共犯関係

 

ジャニーズにおけるコンビは、熟年夫婦に例えられたり、初々しいカップルだったり、お爺さんと孫だったり、親友だったり、ファンの解釈によって様々に関係性が語られます。では「もんビバ」とはなんだろう、と考えたときに、私は「共犯関係」なのではないかな、と解釈しました。逃げるも捕まるもいっしょ、どちらかが足を洗うまでの運命共同体である共犯者。それぞれの利害の一致のため、そして目的をなすために最適のパートナーのため、いっしょにいる。友情、恋愛、愛情などではないからといってこの関係性がそれらに劣るとは思いません。

ちなみにサステインとは英語で「支える、持続させる」と言う意味の動詞。音楽用語では、楽器の音が発生してから、音が途切れるまでの余韻を指します。音が鳴り止むまでいっしょに夢を見る共犯関係ってめちゃめちゃロマンティックじゃないですか。

 

Break Through

バンドワゴン乗りそこねた似た者同士 旅は道連れ 東を目指して

「バンドワゴン」とは行列先頭に居る楽隊車のことであり、「バンドワゴンに乗る」とは「時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗る」という意味の経済学用語である。対義表現は「アンダードッグ効果」。

バンドワゴン効果 - Wikipedia


ギターマン 終わりが来てもきみだけは熱き血潮のリフかき鳴らしてて

配信のブレークスルー演奏で、ギターを弾く正門くんの姿が余りにも眩しかったので詠んだ句。汗の粒がキラキラ光って綺麗だった...。


「そこの人、そろそろレトロな色眼鏡外さな楽しいもん見逃すで?」

リチャくんの歌割り「ステレオタイプはあちらへどうぞ」から詠んだ句。おそらく今まで幾度となくくだらないステレオタイプを押し付けられたり、それによって不快な思いをしたことがあるであろうリチャくんがこのパートを歌うのか...とすごくグッときました。


後ろ指指すならお好きに ほんものの確かな言葉は持っているから

島健のパート「わからず屋って言われたってわからないままいればいいさ 後ろ指指すならお好きにどうぞ」から詠んだ句。周りの人になかなか理解されないような世界観を持っている小島くんですが、いくら変だと言われようと、小島くんにはそのまっすぐな心根から生まれるたしかな言葉の数々があります。それに心を動かされる人は少なくありません。少なくともファンはそう。

 

泥水を啜る覚悟を持つ美学 ライトの下で輝けりゃいい

諦めを延ばした数だけ光る星 残りもんには福あり、いうてな

フォルテシモ いざ踏み鳴らせ宣戦のバスドラ 時代は創り出すもの
公道を外れてけもの道の旅 正解以上の何かに出逢いに